さださんの歌には多くの花が登場します。
デビューしたのが、20代前半、学生の時には、バンドを組んで音楽活動をしていました。
その若さから、想像もつかないほど、人生の機微を歌ったうたが多いですね。
お花が登場するのも、本当にそんな若い時にどうして、そんな花に目を向けて、
歌にしていたのか、さださんのトークにはあまり出てきません。
ですが、季節季節で咲いている花と、まるで映画のワンシーンのような場面設定で
花をみると、その歌のワンフレーズが思い出されて、つい口ずさんでしまいます。
今回は、今の季節庭先や、ちょっとした道端に咲いている、矢車草(矢車菊)にちなんだ歌をご紹介。
タイトルは「第三病棟」
さださんの ※ソロデビュー 第一作目となる オリジナルアルバム
※ さだまさしさんは グレープ(1972-1976)というフォークデュオを組んでいましたが、体調を崩し、惜しまれながら解散。
半年の休養を経て、1976年10月 さだまさしとして ソロデビューしました。
「帰去来」(1976発売)に収録されています。
その他、ライブ盤 *「月虹」第5夜〜第8夜 にも収録されています。
「月虹」はライブDVDもあります。
*「月虹」さだまさしデビュー30周年 記念コンサート。1夜ずつテーマを変えて、30年のあゆみを紐解く、伝説のコンサートです。
目次
歌のドラマ
歌詞の内容は、
入院生活を送る「僕」と看護師さんであろう「恋人?」との会話と、
「僕」の向かいの病室にいる、幼い少年との記録。
子供たちの笑い声と明るい陽射しで目覚めると、
お向かいの坊やが「おはよう」とあいさつしてくる。
坊やの病室にはお見舞いの”いちご”がおいてある。
あんなに元気そうな可愛い坊やが「注射はいや」と泣いてるのを、
看護師さんの彼女は「私も同じよ」と慰めている。
彼女は「僕」に 「あんなに可愛い坊やが(病気だなんて)不公平ね」という。
坊やから、紙飛行機のメッセージ「夏になったらキャッチボールしようね」と。
ある日、ぼうやの病室が空っぽになっていて、返事を乗せた紙飛行機を受け取る少年がいない。
花壇には少し遅めの矢車草
「君」と「僕」は 紙飛行機を梅雨明けの空に飛ばし、坊やに届けと祈っている。
というストーリー。
この情景を読むと、
少年は 元気に退院したのかな?
それとも・・・・
私達が願うのは、きっと予定より早く元気になって退院したのね。ということ。
どんな病気だったのかなんてわからないけれど、
もしかしたら 手の届かない空に行ってしまったのかな?とか、考えると
たまらなく切なく、悲しくなりますが、
真相は聞き手に任せているのでしょう。
明るい曲調
といっても、今のアイドルたちの歌のような明るさやリズム感はありません。
ですが、ほのぼのとした、童話をよむような、優しい語り口の歌と、
必ずしも暗くない曲調にとても救われる1曲。
矢車草が出てくるのは ほんのワンフレーズ。
私が聞きこんでいるというのは間違いありませんが、この時期、
野に咲く濃紺の愛らしい花、矢車草を見かけると、つい、思い浮かぶ曲です。
歌の中では少し遅めの矢車草と梅雨明けの空と出てきているのですが、確かに
矢車草は今が盛りです。
梅雨明けに咲くのは遅めですね。
そして、もいひとつ、紙飛行機で思い浮かびませんか?
そう、松任谷由美さん、ユーミンさんの「紙ヒコーキ」
真っ青な空へ 願いを乗せて飛ぶ紙ヒコーキ。
紙飛行機の飛ぶ姿は、何か私たちの願いを空に届けてくれる イメージがあるのでしょう。
今、矢車草が道端で綺麗に咲いているのを見ると、ふと思い出す、私の1曲。
若かりしさださんの面影と、優しい声が、
大好きです。
さださんが、花を見るそのまなざしで作られた 「第三病棟」
あなたも、その世界観、ぜひ覗いてみてください。